採用差別の禁止
まず,判例において誰でもどのような条件を雇うかについては基本的に企業の自由です。(三菱樹脂事件)
また、不採用になった場合、労働者から採用しない理由を聴かれても答える義務はありません。
さて、中小企業で意外と意識されていないのが採用差別の禁止です。
・性別による差別
・労働者の能力等に無関係な家庭状況
・同生活状況
・思想信条に関する事項
・婚姻の有無
・身元調査
・不必要な健康診断
実は、これらの事項を採用面接で聴くと採用差別になるおそれがあります。また、既婚であることを理由に不採用にした」場合は、採用差別として不法行為を構成するというべきです。
ところで中小企業側としては、婚姻の有無やこどもの有無などは、残業も含めた労働遂行の利益に関わるといえるので聴きたいところですが、これは男女雇用機会均等法5条に違反する可能性があります。
また、身元調査もあります。筆者が弁護士事務所で就職をした際、その代表弁護士とその妻が私の自宅(実家)まで来ていたことがありました。このとき、おそらく自宅(実家)を見て、その資力の程度を見たのではないかと思いました。こうしたことは、発覚した場合は採用差別となりますので実施を避けるべき事項といえます。