労働問題

病院の中の労務管理にお悩みではありませんか。

病院の中の労務管理にお悩みではありませんか。

 

一般企業(メーカーの場合)の場合は、総務部長、営業部長、開発事業部長がそれぞれいて、人事担当、営業担当、製品開発に別れています。

 

しかし医療機関は、院長の下にそれぞれ医療安全・感染管理、研修医教育、保険診療・救急医療担当を担当する副院長がいます。しかし、それぞれがある意味で「独立」していて、「人事部」がいません。

 

このため、看護師長や監護主任などが労務シフトを毎月作成したり勤怠管理をしたりなどの労務管理をしているのが実態です。

しかし、医療機関には、弁護士と同じく労働集約産業であるほか、女性職員の割合が高い、医療サービスなので無休などの特殊性、労務管理の知識が乏しく、薬剤師などとの他職種が組織横断的に協働しているチーム医療の関係で、労務管理がますます複雑化していて、これらを人事部もなく、労務の相談先が少ないというお悩みが多いと思います。

現在、多くの病院が赤字といわれています。つまり経営が良い病院に研修医、若い医師が集まるようになってくるのではないでしょうか。つまり、医師が確保できる病院とは、技術力が高くなり、症例数を確保し、若手を確保し、結果、収益を確保できます。一般的に1名の医師の年間の売上は概ね1億円といわれています。

年齢別でいいますと、20代男性、30代男性に集中されています。また、勤務時間は、臨床研修医、産婦人科、救急科、外科系の順番で労働時間ないし診療時間が長くなる経緯があります。

では、今後、どのように改革をしていけば良いのでしょうか。

外部環境としては、2025年に団塊世代が全員後期高齢者になり医療需要が高まります。したがって、2025年が医療機関は節目を迎えます。それまでに病院は、医療従事者の働き方という内部環境も構築していく必要があります。2019年に執筆している記事から6年後には、医療需要はピークに達するのではないかといわれています。

政策的には、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に分けて再編をするというのも、一つの政策ではないかと思います。今後、2025年に向けて、院長先生、副院長先生は、自分の病院をどこに目指そうとしているかを考える必要があります。現在は、患者のとりやすさや若い医師の確保などから急性期病院が多いものの、今後、回復期や慢性期に振り分けていく必要性が出てくると考えられます。

マクロ的にみると医師の偏在は西高東低にあるといわれています。これはもともと日本の医療が九州地方から発達したからといわれています。こと、愛知県の場合は、人口10万対病院病床数については、大きな問題とはなっていないと評価されています。

しかし、今後は2025年のみならず2040年問題が顕在化してきます。これは、人材リソースの確保が必要になってきます。国の平均在院日数短縮政策が進めているため、慢性期を確保できないことからダウンサイジングせざるを得ない病院が多くなります。

このため回復期や慢性期は在宅医療を受ける患者が増価する方向性にあります。今後は公立病院に、へき地医療、小児・救急・周産期・災害・精神などの不採算部門、がんなど高度医療の提供、医師派遣の拠点といった役割を果たすことになるだろうと推測されています。

今後、公立病院については診療実績データを分析し、上記のような特化化が進んでいると分析して、再編を促すものと考えられます。(2019年)

代替可能性があるものは、同じような機能があれば公的病院は無駄、診療実績が少ないので撤退したらなどということで公立病院の再編が進んでいくように地域医療構想を進んでいます。そして国は、公立病院の「全廃病院リスト」424病院を公開しました。このため、患者が来なくなるとか、医師の離職が進むという声もありますが統廃合のリストには赤十字病院も含まれています。このため、今後は病院の再編が進むと考えられています。

そうすると、医師の配置調整が喫緊の課題となり、働き方改革も相互に相まって、労務管理の重要性が増すものと考えられています。医療機関に関する労務問題、法律相談は、医療労務コンサルタントの資格を有する名古屋市の労働弁護士、社会保険労務士にご相談ください。