消費者問題

占いサイト詐欺について違法として代金を取り戻した事例

占いサイト詐欺について違法として代金を取り戻した事例

 

悪質な占いサイトに引っかかってしまった場合、利用したお金は通常取り戻すことができないと考えている方が多いように思います。

しかし、ケースによっては、弁護士の無料相談を利用しましょう。泣き寝入りをすることなく、過失相殺される可能性はありますが少しでもお金が取り戻そうと努力することが大事ではないかと思います。

 

占いサイトに登録したことのある方の場合は、無意味な言葉、呪文、画像などを何度も送信されることがあります。そして不安を煽ることによって、再度、占いを受けさせようと保険などを解約してまで占いをしてしまう場合があります。

時々、騙されたという心理的ストレスから、怪しいメール、悪質なメールを削除されてしまう方もいます。気持ちは分かりますが、大切な証拠になります。ゆえに、きちんと保管をしておきましょう。

 

占いサイトの手口としては、「1分あたり数百円」という料金設定がされているケースがたくさんあります。時間が長くなれば金額が上がることから有意とはいえないやり取りをしてたくさん有料サービスを受けさせようとするのです。電話に限らず、メールなど無駄なやり取りが続く占い師は信用しないようにしましょう。

占い詐欺とされるものは、特にきちんと鑑定をしないで、複数人に全く同じ呪文のようなものを送付する「テンプレート型」があります。

そもそも占いは個別具体的な鑑定に対する対価を支払うものであり、「テンプレート」では詐欺といわざるを得ません。

実際には、占いをしていないのに、「占い師」を名乗ってお金儲けをしている可能性があります。他の相談者にも全く同じ「テンプレート」の鑑定結果を送付している場合があるのです。

 

 

今回は占いサイトをめぐる弁護士のメリットや選任方法について、弁護士が解説します。

 

1.占いサイト詐欺で弁護士を選任する場合

Aさんは、占いサイト「占いババ」(仮)で約300万円のポイントやクレジットカードを利用してしまいました。「占いババ」では複数の占いサイトを運営していました。占いに対して、消費者がメールを送信するたびに、ポイントなどの金銭的支出が必要となるのです。

Aさんは、わずか1か月の間に、合計4500件ものメールを受信・送信させられていることが分かりました。そこで主に霊能関係を連想させる文言を多用して困惑ないし不安をあおる言動をして、Aさんを有料リンクに誘導していたのです。

 

返還交渉には弁護士がいた方が、交渉や裁判がスムーズに進む場合があります。

 

2.占いサイトについてはいくつかの判例の分析が有益です。

  •  東京地裁平成30年4月24日判決

本件は、占いサイトを利用するため、約400万円ぶんのポイントを購入した消費者が不法行為に基づく損害賠償等を占いサイト運営会社に求めた事例です。

判決は、個別に占って鑑定等を行うと謳うサイトが、実際には個別占いや鑑定を行わず、サイトのシステムを利用して有料ポイントを費消させて、利益を得る行為を「詐欺」にあたると指摘しました。

そこで運営会社の不法行為責任、代表取締役の共同不法行為責任を認め、ポイント購入全額と弁護士費用の賠償を認めたものです。占いサイト運営会社の不法行為責任を認めた点において参考になる判例といえます。

 

  • 東京地裁令和元年12月2日判決

本件は、Aが運営する占いサイトを利用した守秘者が、サイトが提供する占いが詐欺又は社会的相当性を逸脱する違法なものであるとして、1)民法709条、2)民法715条、3)代表取締役に対して、民法709条、4)会社法429条の責任を求めた事案です。

本件の争点は、①本件サービスが詐欺に該当するのか、②本件サービスが社会的相当性を著しく逸脱するのか、③過失相殺でした。

まず、①の詐欺に該当するかについては、個別の占い判定を行っていないのに行っているかのように装っている詐欺行為であると主張が退けられてしまいました。つまり、本件サービスは、「消費者が抱いてきた生活や人間関係の個人的な悩みに対応していないとまではいうことができない」として詐欺にあたらないとした例です。

次に、②の社会的相当性は平成30年判例では大きく取り上げられていない争点です。

判決では、鑑定を勧誘することが不当な目的に基づいており、不当な手段によって勧誘がされているものと指摘されました。そして、消費者が正常な判断が妨げられている状態で不当に過大な金銭を鑑定対価として支払ったような場合には、鑑定名目で対価を請求する行為は社会的に相当な範囲を逸脱した違法な行為になるとの規範を示しました。

そして、判決は社会的に相当な範囲を著しく逸脱したものとしましたが、ポイントは、「正常な判断能力の回復の有無」にあると解されている枠組みといえます。

更に、③の過失相殺については、消費者が1)経理の仕事をしていること、2)利用料金の認識、3)配信停止措置の認識などを取り上げ3分の1の過失相殺を認めています。このような事例では過失相殺がされる可能性があることを示すものといえます。また、事情によっては2分の1の過失相殺がなされるケースもあります。

3.占いサイトの実態は「サクラサイト」と一緒といえる場合も。

占いサイトは、平成30年判例によれば、鑑定士が存在しないか、少なくとも個別に占っていないと指摘されています。

つまり、サイト側は個別鑑定を謳いながら同一内容のメールを発信して、個別鑑定されていると信じた顧客の有料のメール送信を繰り返させて利益を得る仕組みです。

これは「サクラサイト」と同じシステムになっています。

占いサイトの場合、被害者は、占いによって悩み事の解決や何らかの不安の解消を目指しているものですが、占いは不確実なものであり結果があたったか否かを争うことは難しいといえるでしょう。

そこで、「占いサイト」においては、個別に占い・鑑定をしていないことを争点としていると思われます。

このほか、「消費者契約法」により、「断定的判断の提供」「不実告知」などを主張することが考えられます。

平成30年判例の特色としては、1)同一内容のメールがたくさんあること、2)鑑定士の契約形態、3)鑑定士の経歴、4)占いや祈祷の方法に関する情報開示の程度の有無を中心に―不法行為を認めているといえます。

しかしながら、鑑定士が実在し、その心情に配慮しているようあ場合は、鑑定士がいないとはいえないということで消費者側の主張を認めないケースもあるので注意が必要です。(仙台地裁平成30年9月12日判決)

 

4.弁護士による解決!

Aさんのケースでは、判決を分析のうえ示談交渉に臨み、7~8割を回収することができました。もちろん過失相殺が2分の1の事例もありますし3分の1の事例や早期回収の利益なども比較考量しなければならないと思います。

安心して占いを楽しむためには、正しい法的知識も身に着けて、特に詐欺のリスクがないかどうかを注意するようにしましょう。

Aさんは保険なども解約していましたので、少しでも回収ができて良かった事例でした。