消費者問題

契約書を交わさないままに進んだ設計業務について、基本設計業務は完了しているか。

ポイント

 契約書の有無にかかわらず、設計士は設計内容の説明を行い、建築主はそれを受けてきた事実があるので、契約は成立し、設計業務は行われていたと考えられます。

 しかしながら、現在では重要事項説明義務などがあり、業務の開始時点で契約のことを想定していない限り業務が進められない環境が整いつつある。この点、委託、委託があったかどうかなどを曖昧にしたまま業務が進行し、結果的に争いになることは、消費者側と設計士側双方であります。

 基本設計段階が終わった時点とは、一級に建築物の全体像が確定し、構造設計や設備設計などを含む実施設計段階に移ることを建築主が合意した時点と考えられる。この点、基本設計図書の作成・交付も必要でしょう。そうした場合、建築主の合意は、得られないと基本設計は完了していないと考えられます。業務量として基本設計相当の業務量が既になされた場合はどうなるのでしょう。

考慮要素

・建築物の全体像が確定

・構造設計や設備設計なども含む実施設計段階に移ることを建築主に合意した時点

・基本設計図書の作成・交付

報酬支払請求が困難な場合

・基本設計は完了していない

・業務量として基本設計相当の業務量が既になされた

・設計がどこまで進んでいたか

・進捗具合

・その時点までに完成し建築主に提供され説明された設計図書などを設計図書全体に占める割合から判断する

・その時点までかかった業務量が設計業務全体で想定された業務量に占める割合から判断

トラブルの回避策

・設計主は、作成した設計図書

・打ち合わせ記録

・設計者たちとの業務記録整備

・十分な説明義務の履行

・建築主側の同意を得ながら業務を進めることも肝要

・建築士の業務は、基本的に契約によって建築主の望む建築物を実現するためになされたものか

・建築主の側から自分たちの求めているものと違うという判断を下された場合は建築士の側では自らの業務履行の方向性が適切か検討が必要

・四会連合協会建築設計・監理業務委託契約約款では、第26条2項で、建築主の任意の解除権